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タイヤ、オイル、部品(純正部品も)の値上げラッシュも一段落したという感じですが、
ガソリン、ディーゼルの値段はなかなか下がりませんね。
当方もできるだけ遠方への引き上げと配達はお断りするようになってきました。
橋本や八王子にもお客さんは何人もいたのですが、往復すると距離で60〜70キロ。
時間で2時間。
当店の工賃計算でいくと引き上げと配達だけの料金で7万円くらいになってしまいます。
当然、スクーターのタイヤ交換くらいでそんな請求はできないので距離計算はやめて
時間工数にしても2万円。通常はお断りせざるを得ない状況です。
でも古くから当店を使っていただいているので3000円でいいです、みたいな感じはあります。
燃料が高くなったので、かなり節約な運転をしてもリッター11キロのアトラス。
往復60キロとして引き上げと配達で120キロ。10リッターちょっと使うわけです。
10リッターということは今のレートで約1800円。さきほどの激安工賃3000円から引くと利益1200円。
1200円を4時間で割ると時給は300円です。神奈川県の最低自給の3分の1以下になってしまいます。
ということで言い訳がましいですが、遠方のお客さんは断らざるを得ないという状況です。すみません。
工賃を値上げしたり、オイルが上がった分ちょっと負担してもらったり
(上がった分全額は負担してもらっていないので実は以前より利益が減っています)、
そんなことをしてなんとか仕事をしておりますが、数字で見るとどうも下がっています。
やはり薄利多売で体を一日18時間動かして働いたほうが少しは儲かっていたようです。
でも精神的なものもありますが、体力的な限界も時に感じます。
55歳間近となると、まず目が厳しい。ぱっと読めたメインジェットの刻印が全く見えず
数秒で終わる作業が、ルーペ探しに行って、、、と数分の作業に。
データシートやパーツリスト、送られてきた部品の品番まで最近はやたらと印字が小さい。
(小さく感じているだけなのかも)
目の衰えは、しょうがないか。
大型バイクの故障車を引き上げにいきますと、押せない。。。重い。
私は小学生の頃は、親から厳しく鍛えられていたので中1ですでに
握力は50キロを超えていたのですが、いまや握力もそんなにないかも。
重い車両をトラックに積むのに助走をつけてラダーにダーッと走って押すのですが、
かなり助走距離がないと上りません。途中で止まってブレーキ握ってゆっくり
バックするときも、体が小さいので右側ハンドルに手が十分に届かず、ひっくり返しそうになります。
ちょっと前までは全然大丈夫だったのになあ。。。
歳です。認めたくなかったけれど、最近少し認めつつあります。
そしてそうやって仕事を少しずつ選ぶようになり、労働時間も減らし(でもまだ一日16時間くらい働いています)、
売り上げも減って、当然利益も減って。。。
なのに物価はあがるし、光熱費もすごく節約して頑張っても減らないし。。。
食材も週に2000円と決めていたのですが、いままでと同じ買い方で3000円に。
今までも何度もヤバイっていうときもあったんですが、最近のヤバい、はじわじわせめてくる感じで
本当にストレスが溜まります。
なんとかなるだろう
っていう過信があるんですね。今までなんとかなったから。でもよーく数字を見ると明らかに
仕事自体は減っているんです。単価は上がっているけれど件数が少ない。辞められるバイク屋さんも
多いから需要は残っているんですが、単価の高い仕事は運悪くなかなか回ってきません。
この意味不明な、なんとかなるだろう、っていう過信を取り除いていろいろ仕事を考えていますが、
他の業種に比べてコモディティ化している商品を扱う仕事ですから(修理より買い替えが経済的にベター)、
相手にあきらめさせる話術とか、そんなのがないと難しい気がしてきています。
育ちの問題で、もったいない、が先に来ますので多少無理しても修理して長く乗ってもらうという
そのポリシーが自分を追い詰めている感じではあります。
なんとかなるかな。。。
今、政府が言うには景気は上向きなんだそうです。肌感覚とずいぶん離れています。
みなさんの給料が上がっているのなら、当店にも落とすお金が増えるはずですが、
どうも昔より羽振りは悪くなっているのが事実です。気配とかじゃなくて現実です。
世の中のシステムが少し変わると、その周辺は特需ができますが、今その特需で
踊らされているだけなんじゃないかなぁ、と。
バイク業界の特需はEV化ではあるのですが、残念ながら今までの整備とは
やり方が大きく変わるので特需になるのは販売だけになるだろう、と。
整備はタイヤ交換くらいしかなくなるであろうという感じです。
さてどう生きるか、人生100年と考えると今一度リセットして職替えすべき時期なのかもしれません。
ちなみに手に職は無いけれど、資格と興味はたくさんあるので職を変える抵抗はありません。
いままで育ててくれたお客さんが許してくれれば考えたいところです。
お金の問題といえばそれまでですけど、それ以上の情熱が最近かけてますねえ。。。
コロナ禍で人と会う機会が減ったというのが大きいと思います。
人は助け合って生きていく生き物だと思っています。
先月は安価な作業、車体を値切らないでほしいという旨を伝えました。
今日は、仕事に対する熱意みたいなものを少し。値上げの言い訳です。
私はバイクが好きなんです。別にマニアックでもないし、こだわりもそんなにありません。
パッとまたがってエンジンかけてちょっと出かける。風を感じて、なんてかっこいいことも
書きませんが、(It's so easy! 走りだせーよ〜by 浜田省吾さん)
エンジンかけて走るとちょっと気分がよくなる。
電気モーターの時代になるとそういう気分は無くなるんじゃないかという気もします。
走り出した先にいつもと違う風景やにおいが入ってくる。
とんでもない運転の車と出会ったり、白い王子様が隠れているのを発見したり。
そんなこともありますが、エンジンの音と振動とバンクさせて曲がっていく乗り物の
気持ちよさっていうのがあります。
長年バイクに乗っていますが、ブレーキでこれは気持ちいいなあ、というのは無いので
たぶん前に向かって走り出すのが楽しいんだと思います。
いじるのも楽しいです。改造というより、機械がだんだん摩耗や疲労をして壊れていくのを
ちょっと修正やら調整やらしてあげて元の状態に近づいたときの気持ちよさはありますね。
ここではブレーキのタッチがよくなった!とかブレーキに感動することもあります。
整備も意外と楽しいものです。
カスタムは。。。自分で言うのもなんですが、やってる途中で飽きるというか
自分のセンスのなさに呆れてやる気がなくなるんですよね。
なので所さんって本当にすごいなあって思うんです。いつも楽しそうにやってますから。
ということで基本的には、好きで楽しいからこの仕事をやっています。
別に仕事はなんでもいいんでしょうけれど、割と底辺と言われている整備士を好きでやっているので
儲からないとか、汚れるとか、嫌われるとか、いろいろあっても続いているわけです。
若い人には好きな仕事でもいいけど、ちゃんと将来を見て仕事をして
それが社会の役に立っているのならそれでいいんじゃないか、とそんなことを伝えています。
自動車整備士になりたい、という人には、これからの自動車がどういう方向に進んで、
仕事環境が変わることを理解してもらえればそれでいいんじゃないかと思うわけです。
ただ利益としてはかなり厳しい職業になるのは間違いないので、それでも、というなら、です。
個人的にはオススメしません。
日本のものづくりの低迷は感じています。自動化、数値制御が進んで自分の手で感覚的に
作業することがなくなると、加工がずいぶん違う鉄もステンレスも同じように見えてしまいますし、
見えない熱処理や表面加工なんかの実感もヤスリを手で持ったことがない人が設計すると
どこかおかしなものが出来てくることもあります。
大切な縦の関係がなくなりつつある現代。ちゃんと歴史を学んで来てくれればいいんですが、
それすら検索で知る時代です。連続性がない。離散的。まさにデジタル世代です。
ものごとには流れがあり、なぜこういう風になったのか?を知っておかないと
同じことを繰り返します。ただ情報が集まりだして記録されてきて技術分野ではせいぜい100年程度。
初めての事象もこれからたくさん起きることでしょう。時代は想像をAIによって予測することも
できるようになりましたから、いろんなシミュレーションをして方向を決めていくのもいいんじゃないかと
思います。
そしてはっきりしておくべきことは、すでに日本より中国のほうが技術も技能も上になっている
ということです。ただコストダウンの仕方や材料の質、一部にある手抜きのおかげで
中国製というブランドが育たないだけです。その点をよく理解しておきましょう。
閑話休題。
整備事業の経営ですが、実際のところかなり厳しい。販売をしていない当店ですので
作業時間単位で請求したいところですが、当店に来るバイクのほとんどが、
一か所の整備で来られても数か所以上の異常を持っています。
さらにそれらをすべて修理すると買い替えたほうが安いということがほとんどです。
取り扱っている商品がコモディティ化されていて、市場に捨てるほどある製品の修理ですから
よっぽど思い入れがない限り、市場価値より高い修理代を出してくれる方はおられません。
家の修理などは、直さないと今日明日も困るという点であることとは大きな違いで、
例えば雨漏り修理で30万円という請求も、お客さんは納得しますが、
エンジンのシリンダからの水漏れで10万円、というとなかなか納得してくれなかったりします。
作業的には時間も技術も決して家の修理より簡単ではないと思います。
技術も技能も部品の精密さも総動員しての作業です。つけて外しての世界ではなくて
状況の違いをも理解してこの辺の差を理解してもらっても高いお金を請求できない業界です。
旧車がまだたくさん市場にあるおかげで、老舗のお店が閉店していくにつれ当店の仕事も
少し増えたりしますが、私はマニアックなことはわからないので、お客さんの要望に
応えられない可能性が高いです。
時間工数で作業させてもらうのが一番わかりやすくて理解してもらいやすいと思っています。
フェラーリのオイル交換もスーパーカブのオイル交換もやってる時間とオイルが同じなら
同じ値段になるはずです。フェラーリの人にとっては激安で不安でしょうし、カブの方にとっては
高いと思われるかもしれません。
今後はとりあえず1時間1万円の工賃をもらうことにしています。
でも昨日のカーボンかみこんで不動になった4ストジョルノは
引き上げもして3時間かかって整備して5000円です。
不調になったZZR600の修理も結局10時間くらいやって15000円です。
甘いですよね経営が。
大学院まで行って工学を勉強したのにやってることはこの程度です。
好きでやってるから成り立っていますけど、ときどき自分でもったいないなあと
思うこともあって、知恵や知識、経験を生かした仕事をしたいなあと思ったりもします。
ま、自分で決めた道ですから、自分で決めるしかないんですけどね。甘えているんです今の生活に。
工賃は厳しくいこうと決めています。