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月に数度の更新となりました。もうブログの時代も終わりかなと思ったりもします。
時代はインスタグラムやツイッターなどのSNSかな、と。
新しい情報がものすごく早く得られる。それは素晴らしいものですが、
あっという間に過ぎ去っていって後で見直すのが難しい。
検索のキーワードを工夫すれば、過去の特定の記載を探すこともできますが、
使いこなしている人は少ないでしょう。正規表現をたくさん使っていた私の世代は
すぐに理解できるはずですが、面倒くさい、が先にくる世代にもなりました。
(なので過去は振り向かない!)
結局、情報が欲しくてそれを使いたいと思っている人は仕事で必要な一部のひとと、
暇な人たち、ということになりますね。
私はテレビを見ないのでいまいち最近のブーム等がわからないのもあるのですが、
テレビそのものが面白くないと思っている若者は多いようです。
当店に来られる若い人の大半は、ネットで物事を済ませます。さらに動画はYouTubeで見るだけで
テレビというメディアは、見たい欲と合致しないようです。
お客さんからYouTubeでやり方載っているので、それをやってほしいという
作業依頼が週に一度は来ます。
自分でやればいいのに、というと心配だからと。
これって見方を変えると単なる責任転嫁です。まあお金をもらって作業しますから
当然責任は発生するわけですが、こちらの手の届かない領域の保証はできないので
余分にもらうようにしないと何かあったら赤字になるわけです。
そんなこともあり、基本的にスクーターにスマホホルダーやUSB端子を
つけて欲しいというような仕事は門前払い。
こんなカスタムをしてほしい、というカッコだけのカスタムは私のセンスがないので
3秒くらい悩みますがお断りしています。
どちらかというと機関上のトラブルの修理が専門ということです。
ただ仕事をしていて思うことは、壊れている大半、ほぼ8割はユーザーさんが
常識を知らずにいじった、もしくは、YouTubeを見て基本を知らずにいじった、
などが原因のトラブルです。残りの2割がメンテせずに乗ってて壊れた、です。
例をあげますとめちゃくちゃトルクをかけて締め上げたボルト。
しかも工具の入りにくい奥のほうの位置にステンレスの六角穴付きボルトを使って
締めてある。
これ、万が一ねじが舐めたりしたときにドリルでボルトの頭を飛ばすとかも
できなかったり、そもそもステンレスなのでドリルの刃も選ばないといけない。
そこいらの500円程度のドリルじゃ負けてしまうわけです。
さらに磁石がつかないタイプのステンレスだと奥のほうで落としたら磁石で回収もできない。
このひとつのボルトを外したりするだけで1時間かかることも稀ではありません。
しょっちゅうです。
普通のねじなら頭飛ばしてカバーが取れて残ったねじの軸をペンチで回せばたいていすぐ取れます。
落としても磁石がついた棒を伸ばして拾えます。せいぜい数分の仕事。
ここが工賃8000円になるか800円になるかの境目です。
あとつい最近作業したバイクもボルトにやたらめったら「ねじロック」がついていて
その除去作業に時間がかかりました。さらにステンレスねじだったこともあり、
もしかじったりしたら先ほど述べた超面倒な作業をする次の整備士が目に浮かびましたので
ちゃんとねじ山もねじ穴もタップとダイスをかけて、さらにきれいに清掃してという
作業が入りました。
ああいうのは正しい設計であれば不要なのですが、万が一のために滅多に外さない場所には
ねじロックを規定量塗布することが組み立てマニュアルに記載されています。
しょっちゅう外す場所の場合は、Uナットや割ピンとかの指示になっているはずです。
もちろんこれらは再利用不可です。
まあ、日ごろ見つけた異変や整備についてのウンチクはこういうウェブで書いていくと
それこそすごい量になってしまいって体系的には書けないので、私も時代に乗っかって
作業途中にツイッターでゴチャゴチャ書いております。
できるだけどなたにもわかるように書いていますが、
時々、これを素人が知ることで勝手な作業をしてしまって第三者に
トラブルが起きると困るなあ、というときは、ちょっと難しいワードに切り替えて、
簡単にはできないよー、と暗にアピールを入れています。
難しいところはそこですね。
私も企業で品質保証部門や設計開発業務をした経験があって思うのは、
設計側も実は専門以外はそれほどプロではないので、変な設計が
市場に残っていることです。
もちろん上司同僚がチェックをして試作の前に何度も壁がありますし、
製品前の試験で相当修正が入りますので、市場に出る前に安全性は
保たれています。でも安全性でない整備性とかになると
本当に整備士泣かせの設計が多いのも事実。
トータルでよいバイクというのは、そのバイクの開発責任者がいかに
広い視野と詳細な技術技能に対する視点を持っているか、にかかると思っています。
だから整備経験者が開発責任者になった製品はとても良くできています。
バイク好きが作った製品などもです。(でも多くのメーカーは、バイクが好きだから
という理由でその職を与えません。)
それをいきなりYouTube見て分解して適当なチャイナパーツで固めていくわけですから
整備側はさらに難題を突き付けられることが多いわけです。
カスタム車の整備はカスタムをした人の思想が入っていたりするので
それを読み取りながら作業するのも楽しいですが(たまに感動する)、
ま、ノーマルを超える信頼性っていうのはほぼありません。
よく、この車種はココが弱い、というネット情報をみますが、
整備する側もそのバイクはここが壊れるって知っているんです。
でもそれは100台あったら1台みたいなパターンで
たまたま同じ車種で続くので、ってことで残りの99台は普通に走っていますので
決してその車種のソコ弱いというわけでもありません。
ある意味100台中99台も壊れず走っているんだからすごい!みたいな。
確かに燃料ポンプの問題とか、昔では考えられなかったトラブルもありますが、
それは、昔は故障情報がそれほど一般に漏れなかったことや
製造側で勝手に素材を変えていた(中国ではよくあるらしい)なんて
ほとんど事故ではなくて事件が工場で起きていたりするからです。
日本でものづくりしていたころは下請けさんは、安く叩かれながらも
自社の製品には自信をもって、ちゃんとメーカーに納めていたわけです。
今は海外生産がほとんどなのでどれだけ部品に愛情込めているかはわかりません。
製品の精度や外観の見た目じゃわからないところに信頼の差が出ます。
整備していてよく思うことです。
七夕です。遠く離れたお二人が近づける日です。
私のパートナーはどこにいるんでしょうか?
今朝、水風呂に入っていたところ(最近は暑いので湯舟に水を張っています)
壁をのぼるクモ。
子供のころはクモも怖い存在だったように思いますが、
最近はとてもかわいく見えます。
じっと観察していたところ、あの足の運び。
素晴らしい。
ステッピングモータのような瞬間の加速と停止。それぞれの足が同時に動くことはなく、
8本あるうちの左右で違う足がサッと動き、ピタッと止まる。
その瞬間、体は少し前進する。
いろんな足がそれぞれ別のタイミングで動き、同期しているようには見えない。
いや早すぎてコマ送りにしか見えない。
ムカデのようにシーケンス的な動きでもない。
こんどiphoneのスローモードで録画してみたい。
こういう動植物の動きは、人間社会の機械設計に役立ちます。
極論で言えば、人間が発明したというものはほとんど自然界にあるものを
シンプルにしたもの、人間が作りやすい、使いやすいようにしたもので
あると思います。
つまりのところ、人間が人間のために何かモノを作り、使用しているものは
自然の世界の一部を切り取って再現しているに過ぎないわけです。
自然に負荷をかけないように生きよう!人間が自然を壊している!
地球を大切に!SDGsだ!
なんとなくおこがましい感じ。人間も自然界の一部。きっと人間が
暴れた分は、どこかで自然が吸収して変化を与えてくれる。
まあ、それが最近の異常気象という人もいますが、数十億年ものうちの数十年で
どういう評価ができるかも難しいところです。
人間社会においては、皆がこうしよう、こうしたほうが平和だ、安全だ、と
一定の道筋を決めてそれに従えば、ほぼ楽しい生活ができることと思います。
いまの脱炭素を目指す風潮もそういう決め事のひとつかな、とは思います。
そうそう元技術屋として書いておきたかったこと。
ひとりひとりのエンジニアはとてもよく仕事をしています。
電気が足りないなら、その電力を無駄にしない効率の良い機械を作ればよい。
製品を開発するエンジニアは日々頑張っています。
電気が足りないなら、止めている発電所を再開すればよい。
原子力。まだ燃料であるイエローケーキは日本に大量に貯めたまま。
どうしても経済を回して、人間の安全のために必要なら再稼働。
ただ原子力は、スイッチオンですぐに動くわけではない。
もし今すぐ始動させても営業運転は来年以降になるでしょう。
火力は?日本にはとてもいい発電技術があります。
熱効率でいくと多段で60%を超える効率を達成しているものもあります。
60%です。機械の効率としてはものすごいことです。車は理論的には30%なんて
いう人がいますが、人間が運転している限りせいぜい20%にいくかどうかです。
すごい技術というのは特に石炭を超微細に粉化してガス化しやすくして使う石炭発電です。
15年くらい前ですか、電力中央研究所に伺って、お寿司を、もとい、石炭のガス化装置を
見せてもらいその効率のすごさに驚いたものです。(おいしかったです)
日本の技術者、研究者は個々はすごいレベルが高いんです。会社や政治はそれを生かしていませんね。
火力発電所は原油やLPGのような液体のほうが、ガス化しやすくて
使いやすいです。固体からガス化するより液体から気化させたほうが楽ですから。
でもそのLPGもロシアとの政治的な関係で、十分に供給されなくなる可能性もあります。
日本は石炭の利用が私は一番いいと思っているんです。海外に売れる技術も持っています。
コロナ禍の前、海外、とくに欧州ではこの石炭に対する大反対ブームがありました。
炭です。炭素です。どうもススのイメージが強いようです。
ディーゼル車が出す排ガスの煤のイメージでしょうか。
効率がいいといってディーゼル車がもてはやされていた欧州でなぜか石炭は嫌がられていました。
中国の大半がこの効率の悪い、すすをたくさん出す石炭火力だったのも一つの要因です。
産業革命期のイギリスは煤の雨が降ったとも聞きます。イメージは残っているのかもしれません。
煤の主成分である炭素はとてもシンプルな安定した素材で、ダイヤモンドや鉛筆の材料でもあります。
有機物を構成する大事な元素です。というかCがあるから有機物です。
脱炭素の意味はCを取るということではありませんが、無知な人には炭素が悪者に見えます。
炭素は悪くない。技術屋さんは一所懸命にこの炭素を利用して新しい技術を作っています。
電気自動車が普及していくにつれ電池の技術が大事になってきます。電池はいま電解質に液体を使います。
これを固体にすることで安定性と容量(エネルギー密度)の向上を図れます。さきほどのガス化とは違い
逆の方向です。固体にしたい。そんな世界です。全固体電池。たぶんCも大事な素材です。
みんながわかりやすい言葉で、正しい理解をしてもらうためには、義務教育中にお互いが理解できる
考え方を学ばないといけません。まずは言語、文法から始まり、読解力もいります。
基礎的な物理や自然法則の知識も必要です。
たとえばフリーエネルギーというようなものは言葉としてはありますが、認めてはいけません。
無からエネルギーが生まれるとか、永久機関とかそういう類のものです。
世の中にはそういう研究をされる方もいて、もちろん尊重はしますが、基本の中に入れると
大混乱が起きます。それらは基本から外れた応用分野で頑張ってください、と。
基本的な部分がみな同じであれば理解は早いです。わかりやすい説明で同じ理解ができます。
世の中にはこれまたこういうことを洗脳と称して嫌う人たちがいます。
もちろんそれも共存ということでいいと思うのですが、やはり同じ社会を生きるために
お互い助け合う人間界においては、最低限の共通のルールが必要です。
最近の選挙活動や新興宗教をみていても、どこかこれを守らず混乱を起こしている方が
おられます。まずは同じルールで土俵に立たないと話し合いも難しい。
大まかなひとつの道筋を政治が作ってあげないといけないんじゃないかな、と思います。
話が今回も大脱線しましたが、今年の暑さは異常です。発電所の再稼働といっても、
普段動かしていなかった機械をいきなり動かすのは大変です。
一番困るのは、再稼働する人が以前その設備を扱っていた人かどうか?です。
何年も止めていて、じゃあ動かしてよっていってもそれらの人はすでに引退されているかも。
マニュアル見てできればいいですが、マニュアルに書ききれていない「常識」が
いまは常識でないことかもしれませんからね。
すべてのことに共通しますが、技術技能の伝達というのは、途切れないように続けることが
大事で、何年かやめていたものを突然復活させてうまくいくことはなかなかありません。
バイク屋にしてもキャブをいじれない人とか、スポーク組めないとか、そういう時代に
なっているのはちょっと感じています。技術系の事業継承はM&Aではうまくいかないと思いますよ。
そんなことを感じた今日でした。長文失礼。